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陶器製手榴弾(手榴弾四型)

2015.09.02.Wed.23:32
手榴弾と聞いてどんなのを想像するでしょうか?





まあ普通はこんなんでしょう。

MkII_07_R.jpg


実は大戦末期にあのお皿とかと同じ陶器で製作された手榴弾がある事は余り知られていない。


画像は米軍のMk II Grenade。通称パイナップル。
余談だが手榴弾って映画やドラマだと。。。。

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と大爆発で敵を倒す!みたいなイメージする人が多いだろうが、少なくとも上記の代表的な手榴弾は「破片」で敵を殺傷することを目的としている。(爆発により殺傷する攻撃手榴弾や殺傷を目的としないスタングレネードも存在します)

それでは戦中日本のお話。
戦況悪化と資材欠乏に伴い、本土決戦も睨みながら様々な兵器が配備された。
その中には正規軍に採用されるものから、国民義勇戦闘隊に配備される「自活兵器」や「簡易白兵」まで多岐にわたる。
特に国民義勇戦闘隊においては竹槍を主体に「日本刀」、「猟銃」、「鎌」、「包丁」、「千枚通し」、「工具」、「弓矢」など多くのものがもちいられた。
国民義勇戦闘隊とは本土決戦に備え組織されドイツの国民突撃隊と似た組織。興味のある方は調べてみてください。
大変興味深い組織です。


それら、なんでもアリ兵器の中において手榴弾は軍制式のものと急造手榴弾の2つに分けられる。
軍制式手榴弾は「九一式手榴弾」、「九七式手榴弾」、「98式柄付手榴弾」、「九九式手榴弾」があった。

「急造手榴弾」は、信管のみは軍制式のものをもちいて弾体を現地製造するとともに、代用火薬をもちいたものや空き缶や瓶などに黒色火薬やダイナマイトなどを詰め現地部隊レベルで製造したものがある。
現地材料をもちいて数多くの急造手榴弾が製作され、中には椰子の実や機関砲の薬莢に火薬を詰めたものまで存在した。


そして、それら急造手榴弾の中で、今回取り上げるのは陶器製手榴弾。
お皿とかに使われるあの陶器製の手榴弾。

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・・・花瓶みたいΣ(´∀`;)
金属製の手榴弾と比べるとアレだ。。。優しそう?



・概要
それではこの優しそうな陶器製手榴弾について。
陶器製手榴弾は1945年(昭和19年)頃から終戦までの間に、日本陸海軍において金属製手榴弾の代用として開発、製造がなされた手榴弾である。
円筒形の手榴弾は陸軍製、球体のものは海軍製と推測される。陸軍製は詳細不明、海軍製のものは資料や証言から相模原海軍工廠が開発に関わり、制式名称は手榴弾四型とされている。
国内の各窯業製造業に委託して大規模量産が行われ本土決戦に備えた他、実戦では「沖縄戦」や「硫黄島」で多数が使用された。


・構造
コチラが所有する現物の陶器製手榴弾。まこちゃんさんから譲って頂いたもの。
IMGP5919_R.jpg


内部構造。
支えるのをダンボーさんにお手伝い願いました。
弾体の接合部を確認する事ができる。
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コチラが「たまや」様による分解イラスト。(許可を頂き掲載しています。無断転載厳禁)
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現物と「たまや」様のイラストで比較してみると、所有する陶器製手榴弾は「弾体」だけであり、炸薬や信管が無いのは当然として本来陶器製の弾体を覆うゴム袋が無い事が確認できる。
このゴム袋は、防水及び取り落とし防止のためだけでなく、破損時における形状維持の機能も有しているのではないかとする説もある。


・分類
焼き物である為、お皿や湯呑みのように「~焼き」の分類がある。
以下は全日本軍装研究会発行 山本達也様著「日本の陶器製兵器2」における分類を元に記述しています。

海軍製の手榴弾四型は以下に分類できる。

・有田焼系
胎土は白色の素焼き
外面は無釉
内面は透明釉


・瀬戸焼系
胎土は白色陶磁器質ないし灰白色半磁気質
外面は透明
口の返りが薄い
底面は丸底


・真楽系
胎土は灰白色の陶器質
内外面に赤褐色ないし黒褐色系の釉薬
底面が丸底と平底のもの両方あり
多くに統制番号を捺印

この他にも産地不明の型や美濃焼型、先述した陸軍型などが存在する。


・実用性
・威力
様々な証言により陶器製手榴弾の威力は金属製手榴弾に比べて極めて弱いものとする点で一致している。
何故なら先述したように防御型手榴弾は、「破片効果」により攻撃力を発揮する。しかしその点、陶器製手榴弾は爆発時に陶器製の弾体が粉状に砕けてしまうため、殺傷に必要な破片にならず「破片効果」を発揮できないためである。

・強度
陶器製手榴弾と聞いて最初に思い浮かべるのがこの強度だと思う。
大丈夫なんだろうか。。。。と

この点において、全日本軍装研究会発行 山本達也様著「日本の陶器製兵器2」において強度実験が行われており、そのデータが記載されている。
詳細な実験が行われており、大変貴重なデータが載っている。詳細は購入して読んで頂くとして結論を書くと。

・砂地、普通土質の地面においては、5メートル以上の高度で自由落下の衝撃に耐える。
・砂地において30メートル先の標的に向かい投擲。その結果、破損なし。よって一般的な手榴弾投擲距離での実用も問題ないと推定される。
・但しコンクリート等の堅硬な地面においては容易に破損するため注意を要する。


・使用手順
以下が手榴弾四型の投擲方法である。(許可を頂き掲載しています。無断転載厳禁)

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このように日本らしい急造兵器で、調べてみると奥が深い陶器製手榴弾。
他にも三式地雷を始めとした陶器製地雷や陶器製爆弾などがあり大変興味深いジャンル。
戦争末期の急造兵器ってなんだか不思議な魅力がある。日本のは当然ながら、ドイツの国民突撃隊やらイギリスの地域防衛義勇隊の武器も魅力たっぷり!


コチラが記事執筆の多くを助けて頂いた書籍の「日本の手投弾薬1」と「日本の陶器製兵器2」

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偶然コミケで入手することが出来た。こんな本に出逢えるからコミケは素晴らしい。
。。。。もっと早く出会えていれば手榴弾がメインのやつも買えたのに(´;ω;`)ブワッ ホント一期一会。





最後に、記事執筆にあたって大変貴重なイラストや書籍の引用を快くお許しくださった「たまや」様に感謝申し上げます。
コミケで偶然出会えたあの本が無ければ、陶器製兵器を始めとした急造兵器や各種弾薬を好きになることもありませんでした。



【参考資料】
「たまや」様 pixiv内イラスト「陶器製手榴弾」 pixivID http://www.pixiv.net/member.php?id=828156
全日本軍装研究会 「日本の手投弾薬1」
山本達也 全日本軍装研究会発行 「日本の陶器製兵器 2 -陶器製地雷ほか-」
藤田昌雄 「知られざる国民義勇戦闘隊の全貌 日本本土決戦」
学研研究社 「本土決戦 陸海軍、徹底抗戦への準備と日本敗戦の真実」
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コメント
あの拾ってきた手榴弾が、こんな立派な記事になるとは!
ずんださんに寄贈して、よかったです♪
>>まこちゃんさん

いつもの事ですが今回は特に色々な方のお陰で記事が完成した感があります 笑
あの手榴弾は家宝に飾ってますb
最近忙しくて中々更新やコメントできてなくてスミマセン(´・ω・`)

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